
初ヨーロッパ、初ミラノサローネ、Madonnaと同じくバージンのように多種多様な新しい事を体験出来、これからデザインをどのように流すのか考えてみました。
私がロゴの写真を撮っていたら親切な現地夫人に声を掛かけられました。このサインは Lorenzo Mariniというイタリアンデザイナーが設計したと夫人は情熱的に私に語り始めました。やはり地元民であるため、ロゴについてすべて完璧に且つ誇らしげに教えていただきました。この時期は、ミラノの住民にとって一年に一度の盛大なパーティーであるため、街全体がとても大きな活気を醸し出していました。今年で五十五周年を迎えることに立ち会えた事に私自身とても幸せな気持ちになりました。また、上記のロゴを実際に見ていると自然と吸い込まれ、躍動感を実際に体感させられました。そして、デザインのこと、展示場のことをもっと追求してみたくなりました。
36ヶ国の共通点(特徴)ー”Before Design : Classic”
今回の研修に備え、私なりにすべての国のデザインをリサーチした上で、参加させて頂きました。台湾と日本にも文化の違いあるように、各国のデザインにもそれぞれの国の文化や発想など、それぞれの色がありました。場内36カ国のデザイン、場外も含めると165カ国のデザインを観賞するなかで、私なりに一つの共通点(特徴)を見出すことができました。
それは、各国が昔の技法を忠実に守っているということです。
例えば、日本の共通点(特徴)は色使い等シンプルな点があるが高精度な作品が多い。
一方でイタリアの共通点(特徴)にはパッション(情熱)を感じられ、そこには機能性も多く重視されている作品が目立ちました。
また、木の素材感を使い決して他国ではまねの出来ない清潔感を最大限に発揮している北欧の家具。
フィリピンのクラフトマンの感情のこもったエコ-サステイナビリティー。
共通点(特徴)など、
各国なりに昔からの伝統をしっかりと守るという共通点をクラッシックデザインとして、現代の色に変え蘇えさせているように感じました。
過去と現代のバランス
デザインは私たちにとって物を再定義することであるとイタリアメーカーのスタッフに教えていただきました。私なりの考えは、再定義とは全く新しい物を創るわけではなく、昔からの伝統をしっかりと残しながら、今の時代とバランス良く融合させることでどんな場所にもマッチングできるもの、即ち過去と現代のバランス感であると考えました。前項の各国で持っている伝統的なクラシックデザインとこれから作り出す(再定義した)物との配分によってその作品の持ち味が最大に発揮できるのではないでしょうか。
上記写真は北欧のモダン様式を取り入れ、昭和時代からの木工技術でクオリティーを高め、現代の染色技術が融合されたKarimokuChairです。絶妙なバランスでモダンなデザインと日本の伝統職人の技術がとてもバランスよくマッチしているすてきな椅子だと思います。
上記写真は花瓶の形から発想し、1969年にVERNER PANTONによりデザインされた机のランプとメーカーの方に教えていただきました。上記ランプは機能性と形をハンドメイドで素材の魅力を最大限に発揮する北欧の伝統に根ざしたコンテンポラリーなデザインであると感じました。
更に、コペンハーゲンというペンダントも詩のようにシンプルな工業風と現代的なエレガントとのバランスを私の心を惹かれました。
上記写真は工場のパイプから発想した工業風なウォールランプで固いパイプを軽くて丈夫なアルミパイプに変え、どこにいても光があたるように現代の人々の欲求に対応したコンテンポラリーなデザインだと感じました。
上記写真の椅子展示方法は中世後期のイタリア人建築家のジョットに敬意を表しているような展示手法でした。テラスと庭園家具にプラスチック素材を採用した網を取り入れることによって体に馴染み、とてもすわりこ心地のよさそうな作品に仕上がっていました。天気の良い日などにアウトドアアイテムに相応しいと思います。そして、世界に名を残す建築家のジョットは、このシリーズをコンセプトに時代の流れに動揺されることなく、昔から残っている伝統的なクラシックデザインで100% Made in Italyを強調されていると感じました。
上記写真はクラッシク色がとても強い現代の電動バイクです。イタリアのデザイナーLuca Agnelliが設計した作品になります。スタッフの説明によると、1950年代によく使われていたシックなタンクの中身は環境に優しい充電できるバッテリーが設置されているようです。現在世界中で注目されている環境意識も含めて、懐旧でオートバイ乗りに過去と現代とのバランスの格好よさをもたらしていると感じました。
上記4つの照明はキャンバスとLEDストリップで作られています。普段私たちが日常的に使用しているスマートフォンのモバイル3000mAhというバッテリーが採用されています。また、軽量化されているため、モバイルのようにどこでも持ち運びができ、電力も長時間使用できるように作られています。デザインには意図的に昔ながらの照明をコンセプトとして、現代に求められる効率性と、一昔前の非効率さとのコントラストがバランスよく調和されています。
素材の表現を極める
新しいデザインを創るためにはマテリアルの表現は必要不可欠であると思います。 昨今、インターネットが発達する時代では、人々の物に対する見方がとても厳しくなって来ています。そのため、デザインについても機能性の追求や美意識を一層高めていかなければならりません。そして、商品をもっと魅力的に見せるためには、そのものの形と、さらにはそのものの素材感を最大限に発揮する必要があると展示場のあるイタリアメーカーのスタッフから教えていただきました。
イタリア語で”SOLOMETALLO”ー金属のみというコンセプトでデザインされたテーブルであります。銅、真鍮とステンレスで構成し、金属の艶とそれなりの本質が極めて表現が出来ていると思います。三つしかないアルミ製の足はきちんとテーブル自体を持たせたり、金属という素材の美しさを鮮明に出している作品です。
グラスファイバーと黒く塗ったウッドで構成された時計になります。グラスファイバーの強みが発揮されており、インテリアとしては現代社会に新しい風を巻き起こすスペインのメーカーの作品です。
回収されたプラスチックで光の表情や素材感を巧く表現している台湾のデザイナーの作品になります。デザインで重要なことは個性や創造性ではないでしょうか。普段何気なく利用している資源も見方をかえることにより、原型を創造させない作品になります。
木にレジンを入れ、木目調を綺麗に見せるBriccolaというテーブルでした。Briccolaはイタリア語で船の道しるべとして水面に見える杭の意味で、このテーブルの素材で完璧に表現できると感心しました。
昔から家具造りに高度な技術を持っていると知られているイタリアでは、その素材の良い部分を最大に活かし、また大胆な使い方を見ると、まさにイタリアの技術がどこの国よりも長けていると身をもって納得させられました。皆がデザインを学ぶなら口を揃えてイタリアに学びに行きたいという意味が少しではあるが分かった気がします。そして会場で多くの作品を観賞したこととミラノが素晴らしい展示会を成功させたことで、デザインという領域でイタリアは先駆者として現在、未来と世界に向けてデザインの流れをコントロールしていく存在であると私は自負しています。
展示場ではなく、デザインが好きな人が集まるパーティー
冒頭でも記載しているように、展示会場だけではなく街全体の活気あふれた雰囲気から、世界中のデザインが好きな人々が集まる大型なパーティーに参加しているような感覚を覚えました。展示場内でも、各国の作品が並んでいるそばで様々な人たちが集まり、国籍、年齢と性別問わずお互いが作品への想いや感想など語り合い、切磋琢磨しているような光景が多くみられました。そういう光景を見ることにより、私自身作品に対しての見方、考え方を一新しなければならないと感じました。ここに参加している人々はみなそう思っているに違いない。そしてデザインにの欲望が溢れたり、新しい機能性が誕生したりして、来年にさらなる新しいデザインが創られるのかという期待感も生まれた。これからデザインはこのように場からひらめきから生み出すと思いました。
デザインで西洋と東洋との比較
今回の開催地はヨーロッパであることもありますが、なぜアジアメーカーは鑑賞者の目も引かないのだろう。おそらく開催国ということもあるためイタリアメーカーがメインになっているような気がしました。やはりすべての国に対して敬意を称するためにはフェアな状態で展示をする必要があるのではと感じました。そうすることにより各国の強いが出てくるため今以上の盛り上がりが出ると思います。下記でそれぞれの比較をしてみました。
Technology & Tradition
東洋でも西洋でも、各国の共通点(特徴)は昔の技法(Tradition)を忠実に守っているということですが、自己主張が強い西洋には「絶えず改革」という想いが彼らのTradition(伝統)だと思いました。昔の技法を忠実に続けながら、もっと斬新な物が創れるのでは?という考えが、何事も挑戦をするという、我が社のTraditionだと各メーカーが口をそろえて会場内で言っていました。おそらく東洋にはまだ広く普及していない発想ではないでしょうか。同様なことを東洋も考えているとは思いますが、まだ保守が残っていると思います。また、技術方面では東洋は西洋には負けないと思いますが、なぜ今のデザイン業界でもう一つのステップに進めないのか?それは戦後の社会発展と深く関係があると思います。戦後東洋は経済成長を求めるため、大量生産を行う工場が多く建てられ、お客様から大量の注文がないと作らないという事が理由であったと思います。一方、西洋は、イタリア人のように楽観的でロマンチックな人種のため注文量が少なくても機能と商品の仕上がりを追及した。科学の進歩で西洋はもっと東洋を超えていくと私は感じました。
現代的デザインと結びつけることで、未来のクラシックを生み出す

今回、視覚に一番激しくされたのはオランダ人のMarcel Wandersが設計したCharleston Sofaでした。恐らく私以外に作品を見た誰もがそう感じたと思います。エレガントでクラシックなソファーを踊るように回転させ、その物自身と遊んでいるような気持ちでこういう新しい発想が生まれたのではないだろうか。




デザインは生活のどこでも存在し、見付けられるのを待っている






