MILANO SALONE

2016年度開催 ミラノサローネ レポート

2016年4月

福本 晏菜

 

毎年4月に行われるミラノサローネ。今年もイタリア•ミラノで世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ」が2016年4月12日〜17日の6日間に渡り、イタリア ミラノのローフィエラ(本会場)とフィエラ(市内会場)で開催された。市内各所で世界中のメーカーやデザイナーの展示会が一斉に開催され、ミラノ中大きな賑わいを起こす程のデザインウィークである。その為世界中からデザインに関係する人々が多く集まり、ミラノ市内の様々な各所で展示会や製品発表が行われていた。

その世界最大規模の国際展示会に今回初めて参加をした事ついてのレポートを発表します。

 

[ローフィエラ内様子]

2016年のミラノサローネでは「世界の家具、インテリア、シンク、洗面器具、建材、デザインカラー、素材のドレンド」等の様々な物が出展されていて、ローフィエラ内だけでもかなりの面積があり、No,1~No,24の各建物内によってブランドの位や製品が分かれて展示されている為、とても数日ではちゃんと商品を見て回る事の出来ない程の広さでした。

展示は倉庫の様な場所を使い行われていて、天井がとても高くどのブランド達も与えられた面積の中をめいっぱい使ってブランドの味を出していて、何日間かけて作ったのだろうと思うくらい細部までしっかりデザインされていた事には驚きました。6日間の為にここまでこだわるのかと。それだけ凄い展示会なんだと実感させられた瞬間でもありました。

世界各国のデザイン関係者の方々が集まる為、ローフィエラ内は凄く賑わっていて、デザインに携わっている人々はやはり見る所が違く、細部まで細かくみている関係者の方々の姿勢を直接見る事が出来、デザインを見るだけじゃ無くそういう部分を見る事でも自分にとっては新しい発見や感覚を覚え、勉強になる部分でした。各ブランドの方々と商談スペースでお酒を飲みながら楽しそうに会話をしている様子を見て、多少の違和感を持ちながらも羨ましい気持ちにもなりました。

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[石材を使った置物]

かなり印象的な展示でした、ただ丸い石が置いてあったり、大きな盆の様な物が置かれていたりと、空間の構成が商品をより最大限に見せているなと。ここまでシンプルに大きい商品がディスプレイされていると記憶にも凄く残りましたし、不思議な雰囲気にも圧倒されました。

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[LEOLUX]

ローフィエラ内にあった家具のブランド。このブランドの展示の表現の仕方がとても可愛らしく、特徴的でした。空間の中に半円形型の大きいPanelが何枚もあり、1枚ずつ花をモチーフにしたデザインが違う模様が描かれていて、離れた場所からでも目立つ演出がされていた。

内部の構成に関しては、Panelで何個かに区切られた空間の中にその場所の雰囲気にあった商品達が置かれていて、主にテーブル、ソファ、照明等、家具を中心とした物が展示されていた。商品の存在を更に引き立たせる為に商品に使用している色合いとは相反する色合いでPanelをデザインし、空間の全体のまとまり感を表現しているのであろう。

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[まるで絵画に見える絨毯]

この絨毯にはとても驚かされた、遠くから見ている間は絵画のアートが飾られているのだと思い込んでいたのに、近づいて触れた瞬間に絨毯だと分かり、海外のブレンドだが今の絨毯はここまで精密に作られているのかと、今まで絨毯をあまり集中的に見る事が無かった為に凄く興奮した作品である。正直本当に沢山の作品を見た中でこの絨毯に1番感動を覚え、とてもセンスがあるデザインだと感じました。

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[空間構成が個性的な家具ブランド]

最初このブランドの空間を見た時は舞台袖の様に感じた。数々のアートが飾られていたり、紙にスクリーンが映し出されていて人の影があったり、舞台セットの様な物があったり、馬の置物があったりと色々な仕掛けがあり、要素の多い空間構成でした。ですが違和感無くまとまりがあり、ついつい細かい所まで見てしまいたくなるデザインで、面白かったです。

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[グリーンを多く使用した展示]

ローフィエラ内でグリーンを多く使った展示手法をされているブランドが何カ所かありました。室内の展示でここまでグリーンを使用しているのは珍しいなと思う反面やり過ぎなんじゃないかとも思いましたが、よく見てみるとだいたい造花の植物なのにとても綺麗にディスプレイされていたので、植物の飾り方や見え方をもっと見て行く必要があると勉強になりました。

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[液晶Panel]

今回の空間の演出に液晶Panelやスクリーンモニター等、現代的な手法が多く使用されているなと思いました。少しの面積だけ使用するのではなく床から天井までモニターがあり、やはりそこまですると凄く存在感もありますし、空間の見え方が綺麗に見えます。時代の進化で液晶画面もどんどん綺麗になっているので、ここのブランドの展示を見たいという気持ちにも駆り立てられました。それは皆同じなのかここのブランドは多くの人で賑わっていました。

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[Cassina]

憧れでもあったCassinaの展示を見る事が出来た。やはり有名なブランドだけあって家具の質感、椅子の座り心地、体へのフィット感が他のブランドに比べ全く違った事に感動した。椅子では、人間の体の構造をちゃんと考えてデザインされている事が座った瞬間に分かる。改めてCassinaの品質の良さを体感する事が出来て、改めて家具作りに興味が湧きました。

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[ゴージャス過ぎる空間]

ここのブロック内の展示はどこも驚く程のゴージャスさで、特に1番凄かったのがこのブランドです。このブロックは撮影禁止が多く中まではあまり見れなかったのですが、どのブランドも入り口からかなりの豪華さ。6日間の為にここまで作り込むのかと、この徹底した装飾へのこだわりがもの凄くて驚きました。

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[フィエラ]

ミラノ全体がデザインウィークで町中ではパレードが行われていた。仮装をしている人も居たりと凄く楽しそうで賑わいを見せていた。市内の展示だけでもかなりの数があり、こちらもとても数日じゃ全てを見る事は出来ないくらいでした。展示手法としてはローフィエラと変わらず、より商品を目立たせる様に考えて構成されていて、大きなスペースでも少しの展示等。

流石世界最大規模の家具見本市を開催するミラノだけあって、とても空間の使い方、商品ディスプレイの仕方が上手だなと関心しました。

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[ペンダント照明の展示]

フィエラの店内の中でペンダント照明の展示がされていた。空間は左右で天井と床の高さが斜めになっていて良くトリックアートで使われる手法で空間が構成されていた。こんなに色を使い派手な演出していて写真で見ると商品がちゃんと見えるのであろうか疑問に思うかもしれないが、実際に見るとペンダント照明はちゃんと個々の存在感があり、派手な空間にシンプルな照明が展示されているからか、あまり違和感も無く商品を見る事が出来た。しかもここは入り口のすぐの所にあるので、アイキャッチには凄く良い効果が出ていた。

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[アキッレ•カスティリオーニ博物館]

イタリアデザインの父とも呼ばれた20世紀の工業デザインの巨匠アキッレ•カスティリオーニ。ミラノ工科大学建築学科を卒業後、1944年兄リビオ、ピエル・ジャコモとともに建築事務所を開設し、主に都市計画や建築計画、工業デザインを手掛ける。62年に創設されたフロス社では、デザイン部門の責任者として活躍し、新素材コックーンを用いた照明等のシリーズを発表し、その後も数多くの作品を生み出す。56年にはイタリアインダストリアルデザイン協会の設立に参画。69年からはミラノ、トリノ両工科大学で教鞭を執り、後進の育成に尽力し86年ロンドン王立美術アカデミーにおいて工業デザイナー協会の名誉会長となった方。

カスティリオーニの博物館に見学に行き、数々の作品達を従業員の方に説明して頂いた。

説明して頂いた方はとてもユーモアのある女性で、説明の間も所々で笑いを誘い常に笑顔で話してくれ、目新しく感じる程楽しい時間でした。彼女の説明を聞いていると1つ1つの作品にしっかりとテーマや意図がある事が分かり、デザインに対しての姿勢をとことん取り組んでいる彼の作品達を改めて素晴らしいと感じ、言葉の壁はあったものの工業デザインの巨匠とも言われた方のデザインの作品を沢山見て触れる事が出来き、とても良い経験になったと実感しています。

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[Hotelの貸し出し駐輪所]

駐輪所で初めて見た、とてもユーモアがある自転車置き場。

Hotelの敷地内の端にある駐輪所にまでセンスを感じるミラノのデザイン意識に凄く驚かされた。何故レッドブルなのかは分からないが、とても面白い発想だと感じたしこういう物があるんだと初めて知り、デザインに対する自分の発想の幅の自由さが、更に広がった様な気がしました。

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[PRADA]

PRADAの展示会を見て改めて感じた事は、偉大な事を成し遂げた人物の頭の思考回路は理解しがたい。大きい面積のある敷地内に何ブロックかに分かれてそれぞれ違う手法で展示がされていた。洋服のデザインの経路等がメインの展示かと思っていたが、「ファション、家具、アート、映像、造形物」広い空間の割に展示品は少なく1つ1つをしっかり見れる様な構成になっていた。その中で1番不思議だと感じた物が有名人達の顔をPIPEで繋ぎ合わせて作られている、アート作品。とても興味深い作品で、デザイン意図が全く分からなかったが凄く印象的でした。後、この展示会の中でやっぱり偉大な人は頭がぶっ飛んでいると感じた作品は、古いテレビに映し出されている「ピノキオがクジラの中から出てきて海に溺れていた所をおじいさんが助ける」というシーンがあるのですが、そこのピノキオがうつ伏せで海に溺れているシーンだけを永遠に流している映像を見た時です。本当に訳が分からなかったのですが、ここまで自分のやり方を通し続けている人のこの作品を見た時に、デザインってこんなに自由な物なのかと、自分の個性を出す為にはここまでやり通すべきなんだと、かなり実感させられました。

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[NIKE]

PRADAの近くにあったNIKEの展示会。中央部分に広い空きスペースがあり、その空きスペースを囲う様に周りにある建物内で展示が行われていました。中に入ると広い倉庫の中に靴箱が敷き詰められていて、各展示スペースを区切る為の仕切りとして使用されていました。スポーツブランドなのに楽器や椅子等も展示されていて、新しいNIKEの一面が見れました。もちろん靴のディスプレイもあり、3ブロックに分かれていて、グリーンの固まりの上に展示をしていたり、映像で見せていたり、近未来的な空間で見せていたりと各ブロックによって構成が全然違かったので、見ていて飽きず面白い空間構成でした。

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[2016年度ミラノサローネ デザイン傾向]

個々のブランドの表現方法として、近代的な液晶等を使用した展示手法が多く、それと相反する様にグリーンをディスプレイに使っているブランド、アーティスティックな要素も多かったなと思います。新しい物を取り入れて行かなければならない反面、世界で問題になっているエコというキーワードが強く出ていたんじゃないかと思います。それは商品の素材感だけで無く空間の演出にも多くの自然素材が使用されていたからです。

後、今回のミラノサローネでは洗面器具、シンク、キッチン等水回り関係の物も多く見る事が出来ました。傾向としては無駄が無くシンプルにデザインされていて、尚且つとても機能性に優れていました。引き出しの治まり等見入ってしまう程綺麗で、家具よりも水回り器具の方がデザイン的に進んでいるんでは無いかと感じました。

 

[学んだ事]

今回初めてミラノサローネに行く事が出来、沢山の製品を見て触れる事が出来て本当に数多くの学がありました。「それは自分の個性を追求する事」「デザインに対する意識を妥協せず追求する事」世界のデザインを見て本当に驚かされる事が沢山あったので、その驚きを忘れずにこれからもデザインに向き合って行こうと思います。

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